15. ゼーマクラインの示達

ゼーマクラインよりの示達

教会<<シュライン>>規定に定められている通り、すべての聖典解釈には中央シュラインの議決のもと、ゼーマクラインの承認が必要である。
本示達は、リティヒの参騎であるマーセル・ラングが聖典に記述されたイーリヒトであるという聖典解釈に対し、中央シュラインおよびゼーマクラインの正式見解を述べるものである。以降、この解釈に反する言説を流布することは背信行為とみなされる。

<イーリヒトに関する正式見解>

以下に示す根拠より、リティヒ参騎マーセル・ラングはイーリヒトとは認められない。

・イーリヒトの父が神から賜った土地はアルハイムの北東部にあり、彼がその地を離れて北の国へ旅立つことを忌避したため、逆にイーリヒトはエルフリート神からその土地から出ることを禁じられている。従ってアルハイム南西部に位置するリティヒにイーリヒトが現れることはない。

・イーリヒトを出産する際に落命したイーリヒトの母は、もともとは罪を重ね、弱さと悪徳に身を染めた卑しい女であった。しかし、エリジアンの慈悲により悔い改め、自分の純粋な魂だけを新しい命として残そうとした。また、同じような弱さに取りつかれた人々を多数救ったため、聖女とみなされている。聖女が命を落とす夜は幾百もの星が空を一斉に流れることが知られており、イーリヒト誕生の夜にも多くの星が降ったと聖典に記録されている。しかし、マーセル・ラングが生まれたと思しき時期にはこうした現象はどの夜にも確認されていない。

・イーリヒトの子を産み、呪いから解放する聖痕の巫女の誕生は今後二百年以上ない。
 聖痕の巫女は約二百年に一度誕生するとされているが、十数年前瞼に聖痕をもった女児が巫女家に誕生し、当時流行していた疾患をその身に引き受けて神殿の奥深くに籠られているためである。

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